☆Vol.2 栗山 文昭(合唱指揮者)
栗山文昭さんと直接お会いして、
話をさせていただくようになってから20年が過ぎた。
最初の記憶はCDによる合唱の大全集「日本合唱曲体系」の編纂会議。
場所は京王プラザホテルの「樹林」。
編纂会議といっても、もちろん僕がその編纂会議のメンバーであったわけではない。
僕はただ、合唱の師であった辻正行さんのお供で、
いわば「社会見学」のような気持ちでついていったのだ。
しかし、その会議は「社会見学」と呼ぶにはあまりにもメンバーが凄すぎた。
当時「合唱界の3巨匠」と呼ばれた関屋晋さん、辻正行さん、そして栗山文昭さん。
そして、対する制作陣には合唱普及会の岩田一夫さん、
ビクター音楽産業のディレクター 藤本草さん、大野寿子さんが勢ぞろいしていた。
もちろん、僕はこの会議をきっかけに、その後ビクターで仕事をすることに
なるのだが、当時はまだそんなことをかけらも考えていなかった。
思えばいろんな意味で「バブリー」な頃だった。
◎
あれから20数年。
僕はビクターに勤務している頃から、
ある意味で意識的に栗山さんとセッションを重ねてきた。
それは録音の現場で、言葉では表現できないディープな感動を得るからに他ならない。
僕はそこで何と出逢うのか。
作品?
作曲家?
アーティスト?
いや、そうではない「オンリーワン・チャンス」にかける
栗山さんとそれに応える演奏者たちとの対峙に、である。
◎
栗山さんは「栗山現象」という言葉を生んだ。
この言葉を初めて使ったのは音楽評論家の日下部吉彦さんだったと記憶している。
これは「全日本合唱コンクール」という場で、
7つの金賞を獲得した栗山さんに向けて贈られた言葉だった。
その後、栗山さんはコンクールの場から去り、仲間たちと新しい活動をはじめた。
大きな変化を望まない気質を持つ日本人のメンタリティから考えると、
この栗山さんの行動は「問題」を引き起こすに充分なパワーを持っていた。
そして、今、栗山さんは何を考え、何をしようとしているのか。
そんな想いを抱きながら、スタジオ天に向かった。
「ななもんめコンサート」
2009年9月23日(水・祝) 開演15:00
東京オペラシティ コンサートホール
指揮=栗山文昭
客演指揮=カール・ホグセット
カウンター・テノール=ラスムス・ホグセット
ピアノ=浅井道子
合唱=合唱団 響、コーロ・カロス、宇都宮室内合唱団ジンガメル
主催=栗友会
前売り=チケットぴあ[Pコード330-190]:0570-02-9999
東京オペラシティチケットセンター:03-5353-9999
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指揮:栗山文昭/ピアノ:浅井道子
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